こんにちは、しーたです!
2021年6月2日に受けた採卵手術後4~5日目頃から、残念なことにOHSSによる症状が悪化してしまい、6月7日に予定していた新鮮胚移植は次周期へ延期となりました。
中等~重症度のOHSSで、腹水穿刺をしたり点滴や内服で利尿剤・昇圧剤などの管理までとても大変な思いをしたので、今回の記事に私のOHSSについてまとめていきたいと思います!
【前回記事】
OHSSとは…?
体外受精へステップアップされた方の多くは、OHSSについて知っていると思いますが、まだ知らない方のために簡単にOHSSについて説明しますね!
女性の卵巣は親指大ほど(3~4㎝)の臓器ですが、その中の卵胞が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって卵巣が膨れ上がり、お腹や胸に水がたまるなどの症状がおこることを卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と呼びます。
重症例では腎不全や血栓症などさまざまな合併症を引き起こすことがあります。
OHSSのリスクファクターとして、
- 多嚢胞性卵胞をもっている
- 男性ホルモン値が高い
- LH/FSH日が1.0以上、AMHが4.0ng/ml以上ある
- 卵胞数・採卵数が20個以上で、卵胞ホルモン(E2)が3000pg/ml以上ある
- トリガーにHCGを使用する
- OHSSの既往がある
という方々に採卵後、発症する可能性があります。
OHSSの重症度について
OHSSには分類があり、
- 軽症:卵巣腫大が6㎝以上8㎝未満、腹水は骨盤内にとどまる、採血データは正常
- 中等症:卵巣腫大が8㎝以上12㎝未満、上腹部にまで及ぶ腹水、採血データで軽度異常
- 重症:卵巣腫大が12㎝以上、腹部全体に及ぶ腹水あるいは胸水、採血データに大きな異常
と、3つに分類されています。
重症は原則として入院管理、中等症は通院または状況次第で入院になります。
引用:厚生労働省
OHSSの症状と発生理由
引用:神谷レディースクリニック
軽度のOHSSであれば、月経痛様な痛みまたは違和感が数日間あるくらいなのですが、中等度をこえると腹水が増え始めます。
これは排卵誘発剤により卵胞が多く発達することで卵巣が腫れ、採卵後に卵巣から血管内の水分が血管外(腹腔内)へ移動することで腹水がたまってしまい、
血管内の水分が減ってしまいことで血液が濃縮し、ひどくなると血栓を作りやすくなります。
なぜ卵胞が多く発達すると腹水がたまるのかというと、
排卵のときに卵胞の顆粒膜や卵巣表面の上皮細胞からVEGF(vascular endothelial growth factor)というタンパクが出ます。
VEGFそのものは、卵子が卵巣の皮をやぶって出ていく【排卵】という一種の炎症反応に必要なタンパクですが、VEGFが増えると血管の透過性が亢進するため、血管から水がもれやすくなり、腹水がたまってしまいます。
腹水がたまることで引き起こされる症状として、
- 妊婦のようにお腹が膨れる:腹部膨満、腹痛
- 腹水が上腹部までたまった場合、胃を圧迫してしまう:胃痛、悪心・嘔吐
- 腹水がさらに肺まで圧迫、または胸水がたまる:呼吸困難、呼吸苦
- 腹水により血液濃縮:乏尿、血栓症
などさまざまな症状があり、特に怖いのが血栓症です。
「ここまでの症状はないから大丈夫!」
と安心される方もいらっしゃるかもしれませんが、卵巣腫大がある場合は卵巣捻転にも注意しなければなりません。
- 重いものを持つ
- 激しい運動・腰をひねる運動をする
などは控え、なるべく卵巣の腫れが落ち着くまで、または次の生理が来るまで安静に休む必要があります。
OHSS症状のピーク・消失時期はいつ?
症状のピークは、通常採卵の6~7日後頃となります。
人によって症状の出現時期が異なりますが、症状が出現しはじめて2~3日は症状が増悪を続け、大体の方が採卵して1週間くらいするとピークアウトしてくるそうです。
しかし新鮮胚移植をして妊娠された場合、妊娠によって多量のHCGが生産されるため、重症化しやすくなります。
OHSSの発症・重症化が懸念される場合には、受精卵を凍結し、OHSSのリスクがなくなった時期に凍結胚移植が行われます。
シータのOHSSの場合
左:採卵前(誘発剤投与前)/中:採卵後3日後/右:採卵後7日目
※右の写真は、腹水と浮腫で自分の下着がはけず、間違って購入した海外の水着LLサイズを着用していますが、それでもきつかったです。
私のOHSSが悪化したのは、採卵術後4~5日頃でした。
元々術後5日目(6月7日)に新鮮胚移植予定でクリニックは予約をとっていたのですが、術後初めての診察で
- 上腹部にまで及ぶ腹部膨満、激しい腹痛
- 背中~腰まわり~太ももにかけてひどい浮腫
- 嘔気・嘔吐、食欲不振(水すら飲めない)、激しい胃痛
- 眩暈、動悸、呼吸苦、咳嗽、血圧低下
- 乏尿・濃縮尿
と、かなり重症な状態でクリニックへ来院しました(笑)
もちろん新鮮胚移植は即延期の手続き、この日に移植するはずだった受精卵は凍結してもらいました。(胚盤胞トータル4個凍結できたそうです)
- 右卵巣:12㎝腫大、左卵巣:10㎝腫大
- 腹水上腹部まで貯留、胸水なし
- 採血データ異常あり(数値は見てないのでわからず)
血管内脱水を起こしていたので点滴2本を全開で落とし、残り2本にラシックス(利尿剤)とカルシウム、制吐剤、鎮痛剤の点滴を。
全身麻酔下で腹水穿刺(ダグラス窩穿刺)をし、2,200mlの腹水を抜いてもらいましたが、全部は抜かなかったそうで、また今後たまったときに何度か穿刺しないとけなくなるかもしれない、との話でした。
念のためそのままの足で病院へ行って入院を勧められましたが、夫の付き添い宿泊ができるわけもなく、海外の病院に一人で入院なんてストレスしかない…(◎_◎;)
という恐怖から、自宅からクリニックへ通院するスタイルを選択しました。
でも日本だったら絶対入院を選んでいたと思います(笑)
夜間の緊急時はいつでも病院に行けるように、と診療情報提供書までいただき、点滴と腹水穿刺のおかげで、その日はずいぶん体が楽になったのも束の間。
翌日また腹水は元通り。
しかし初日ほどのひどい症状がなかったので、腹水穿刺は結局1回しかせず、5日間クリニックへ点滴に通い、内服にてフォローを受けました。
この抗血栓薬、痛い上に毎回内出血するので太ももが大惨事になってます(笑)
腹水貯留による呼吸苦を緩和する安静体位
体重が8kg越え、お腹は妊婦さんの8か月頃のサイズ。
後半体調が良くなってたくさん食べれるようになったので、腹水だけの体重増加ではないかもしれません(笑)
フラットで寝ようとすると呼吸が苦しくて、咳が止まらず全然眠れません。
このOHSS治療期間中は1日中、ファーラー位(半座位)、またはセミファーラー位で過ごしていました。
めっちゃくちゃ楽です!
ファーラー位知らなかった方は、ぜひやってみてください(#^^#)
OHSSの症状緩和、または予防に重要だったもの
体外受精のプロトコールに入ってから、Dr.からは何度も何度も
「プロテインをたくさん摂ってね!!」
と、口酸っぱく言われ続けていました。
排卵誘発剤を使い始めてから、発熱など体調不良によりトレーニングができなくなり、それに合わせてプロテインシェイクを飲む量がかなり減っていました。
それでもタンパク質多めの食事を心がけていましたが、今回のOHSS悪化に伴いDr.から細かい1日のタンパク質摂取量を確認され、全然足りていなかったことが発覚しました。
「トレーニングの時の倍量摂って!」
まじかよ…って思いました。全っ然足りてませんでした(笑)
お腹は苦しいながらも、プロテインシェイクを1日3本、食べれる範囲でタンパク質中心の、まさにがっつりトレーニングをしていた頃くらいの食事内容に変えてから、徐々に腹水の症状が落ち着いていきました。
ちゃんとカウントはしていませんが、200~250g近くのタンパク質は摂れていたと思います。
もちろん減塩食、水分1日3L飲用も同時進行で。これもきつかった…(笑)
OHSSのピークを過ぎたことや、点滴や内服が功を奏したこともあると思います。
しかし治療開始からずっと同じくらいのプロテイン量を摂取していたら、もしかしたらここまでひどいOHSSにはならなかったのではないか…と少し後悔しています(^^;
日本ではあまり体外受精でプロテイン摂取は促してないようですが、Dr.いわく、海外では体外受精におけるプロテイン摂取は結構当たり前とのことでした!
なので、これから体外受精を受けるよ!って方は、ぜひともたくさんタンパク質を摂ってみてください☺☺☺
今後の移植予定について
まだ腹水はたまっていますが、次の生理がきたら一気に症状が引くそうなので、Dr.から次周期の移植についてお話がありました。
今回OHSSがひどかったので、移植はホルモン周期ではなく自然周期がいいのではないかとお勧めがあり、夫も私の体のことを心配していたので、自然周期で移植をすることに決めました。
本当は、何度も来院せずに済み、自分たちで日程を決められるホルモン周期が良かったのですが…(^^;
ホルモン周期は、妊娠できたあとも9週頃までホルモン補充を続けないといけないデメリットもあるようなので、今回は自然周期で自己ホルモンに頑張ってもらって、
自然周期移植の妊娠が成立しなかったときに、翌々周期でホルモン周期を選択しようと考えています。
受精卵について
あんまり詳しいことは聞けてないのですが、トータル受精卵4個の凍結ができて、その4つともグレード5の胚盤胞なのでその中から次周期移植するとのことでした。
日本のようにABCグレードまでは教えてもらえませんでしたが、Dr.からとてもいい胚だよ!と言ってもらえ、
OHSSで死ぬ思いをして、受精卵までダメになってたらどうしよう…(泣)とすごく不安だったので、Dr.の言葉を聞けてほっとしました。
まだ着床するかもわからないし、着床したとしても越えなければならない壁は今後たくさんあるので、とりあえず安心…といったところです(笑)
さいごに…
正直、体外受精の治療が始まってから身体的にきついことが立て続き、泣いてばかりの毎日でした。
風邪もひかず「健康でいること」が私のポリシーでもあり、今までも食事や運動に力を入れるなど健康に対する努力もしてきました。
でも「自分たちの赤ちゃんが欲しい」というまっすぐでポジティブな温かい感情をもって挑んだ体外受精で、薬剤によって体はボロボロ、それに伴いメンタルもボロボロ…
- なんで今まで健康に気をつけて生きてきて、ポジティブに前だけ向いて夫と妊活も頑張ってきて、赤ちゃんを望んだことで不健康な体になってしまったんだろう…(一時的のOHSS症状なのはわかっていましたが、この時はこんな感情でした。笑)
- OHSSになった他の方たちは、赤ちゃんのために頑張ってるのに、私はなんでこんなに泣いて辛いと思ってしまうんだろう… こんな弱い人間、ママになる資格はないんじゃないか…
とすごいネガティブの嵐でした(^^;
今思い返すと、自分でもドン引くレベルのネガティブ(笑)
夫から、
子供が生まれて大きくなったら、
『ママはお前たちに会うためにこんな痛い思いしたんだよ~!でもママはお前たちに会いたかったから頑張って乗り越えられたんだよ~!』
って言ってやろうな!(#^^#)
ってセリフを聞いてうれし泣きしました(笑)
まだまだこれから先、色んなことがあると思いますが、
また夫と一つずつ乗り越えていこうと決めました☺☺
次回記事